立ち仕事やデスクワークなど普段の生活や、重い荷物を持った時ときなどに出現する腰痛はかなり辛いと思います。そして一度、出現してしまうとなかなか痛みがひいてくれません。それくらい、私達は普段から腰を酷使しています。
しかし、腰痛は安静にしていれば解消できるというものでもありません。股関節を柔らかくすることで軽減されたり、解消できる場合があります。辛い腰痛解消に役立つ、股関節を柔らかくするストレッチについて解説していきます。
股関節とは
人間の下肢には大きく以下の3つの関節があります。
・骨盤と大腿骨の繋ぎ目の股関節
・大腿骨と下腿骨の繋ぎ目の膝関節
・下腿骨と足部の繋ぎ目の足関節(足首)
この内、膝関節と足関節は足の曲げ伸ばしが主な動作ですが、股関節は違います。股関節は関節の曲げ伸ばしだけではなく、股関節を軸に身体をひねったり、足をすぼめたり、複雑な動作をするために機能しています。実は人が下肢を思いのままに動かせるのは、大腿骨の骨先が球状になっており、股関節はその骨先がすっぽり入るようなソケット型になっているためです。
股関節は骨盤と下肢の要にあたるので、ここに痛みが出現してしまうと、その自由度に制限がかかってしまい、動作がかなり不便になってしまいます。この働きのために、股関節が滑らかに動くことで腰痛が解消されるようになるのです。
股関節の痛み、腰痛の原因
股関節や腰の痛みの原因のほとんどがはっきりしていませんが、はっきりしている病気として、以下のものが考えられます。
1:臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
臼蓋形成不全または寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)は、足を動かしにくくなった場合に考えられる股関節の疾患で、非常に痛みが強いです。臼蓋とは股関節の一部で、大腿骨の骨頭(球場の部分)をソケットのように収めています。臼蓋形成不全の股関節はこのソケット型になっている股関節が浅く、狭い状態になっています。そのため、荷重を分散することができず、部分的に負荷がかかってしまいます。
この状態が続くと股関節と大腿骨をつなぐ軟骨がすり減ってしまいます。臼蓋形成不全の方は、体重を支えるのに力学的に不利な状態にあります。そのため、放っておくと股関節の変形や破綻を伴う変形性股関節症になりやすいです。
2:腰椎椎間板ヘルニア
腰椎とは背中の下部から腰にかけてある脊椎の一部です。腰椎椎間板ヘルニアでは、腰椎と腰椎の間にある軟骨組織が何らかの原因で飛び出してしまい、神経を圧迫します。その結果、腰の動きづらさや腰や足に激しい痛みやしびれなどの症状を起こします。
3:腰部脊柱管狭窄(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
脊柱管狭窄症とは、脊柱管(背骨の中の空洞)が狭くなり、神経が強く圧迫され、足腰の痛みやしびれを引き起こす病気をいいます。この病気は脊柱管が狭くなるという一種の老化現象によって起こりやすいため、50代以降の方に多いです。
4:その他の痛みの原因
これらの他にも股関節や腰の痛みを引き起こす原因は様々です。
長時間同じ姿勢でいることや、腰を継続的に酷使する作業をすることなどがあげられます。また、背骨に何らかの病気や怪我が潜んでいることもあります。疾患が原因で股関節や腰に痛みがある場合は、医師の指示に従いましょう。
しかし、自分で股関節のストレッチをすることで、腰痛の軽減や解消につながる場合もあります。股関節のストレッチのやり方と効果をみていきましょう。
股関節ストレッチのやり方
では、具体的にどういうやり方でストレッチをすれば股関節が柔らかくなるのでしょうか。今回は簡単にできる2つのストレッチの方法をご紹介します。
まず、股関節をほぐしていきましょう。
1. 床にお尻をついて座ります。
2. あぐらをかくように膝を曲げ、両足の裏を合わせます。
3. 手を前に伸ばし、上体を腰から折り畳むように前に倒します。
呼吸は止めずにゆっくりと吸って吐きましょう。また、腰はできるだけまっすぐに伸ばし、上体だけ倒すようにしましょう。頭ではなくお腹を地面に近づけるイメージで行ってください。
次のストレッチです。
1. 床にお尻をつき、脚を伸ばして座ります。
2. 痛みのない範囲で、できるだけ大きく両足を開きます。
3. 手を前に伸ばし、上体を腰から折り畳むように前に倒します。
この時も息を止めずにゆっくりと呼吸してください。腰はできるだけまっすぐなまま、上体だけ倒すようにしましょう。頭ではなくお腹を地面に近づけるイメージです。
あまりストレッチをしない方には、これだけでも辛いかもしれませんが、毎日ストレッチを行えば、自然と身体は柔らかくなります。最初は無理をせずにできる範囲で行いましょう。また、ストレッチは1日3回行うと効果的と言われてます。
股関節ストレッチの効果
股関節を柔らかくするストレッチを行うことで、腰痛だけではなく、以下のような身体に嬉しい様々な効果が期待できます。
・骨盤が矯正されて正しい位置に戻る
・血液の流れがスムーズになり、むくみや冷え性の改善につながる
・姿勢の改善につながる
・怪我が予防が期待できる
・重い生理痛の緩和が期待できる
・O脚らX脚の改善につながる
・腰痛の緩和が期待できる
・股関節周りの筋肉の衰えを防ぐ
まとめ
腰の痛みに効果のある股関節のストレッチについてお伝えしました。股関節は下半身を支える大事な関節です。ここが硬くなってしまうと腰の痛みだけではなく、身体に様々な悪影響を及ぼしてしまいますので、しっかりとほぐすことを意識して、ストレッチしてください。
監修
・救急医、内科医 増田陽子
専門分野
微生物学、救急医療、老人医療
経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務
資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格